須磨から帰京した光源氏は大納言として政界に復帰し、妻の紫の上と蜜月を過ごす。しかし、六条の御息所につづき、永遠の恋人・藤壺の宮がこの世を去った。悲しみにくれる源氏は、亡き人の面影を追い続け、新たな女性をさがす。

・源氏が旅立った間もずっと彼を待ち続けていた末摘花の話
・源氏と空蝉の話
・源氏と頭の中将の勝負(お互い姫を中宮にしたいということから)梅壺と弘徽殿に分かれての絵の批評大会
・明石の上、京へ。
・明石の上の子供(姫君)を紫の上が引き取る。
・夕霧と雲居の雁の話
・玉鬘が源氏に引き取られる

 末摘花と侍従の関係とかやり取りがなかなか好きです。全体的にシリアスな話の中で、この末摘花と女房たちのやり取りはコメディタッチでした。
 夕霧と雲居の雁の幼い初恋話は可愛らしく、ほのぼのとしていて、でもちょっと切ない話でした。父親同士の関係とか身分とかが関係して、お互い想い合っているというのに無理矢理引き離されてしまうのは可哀想でした。いつまでも忘れないと誓う夕霧は一途だと思ったのですが、玉鬘とはどうなるんでしょう。
 紫の上は全体を通して、嫉妬をしているような感じでしたけど、明石の上の姫君を引き取った時の彼女の反応には少しほっとしました。なんとなく彼女は自分が一番寂しいといったような雰囲気を出していたので。悲しくて寂しいのは自分だけではないのだと。(語弊があったらすみません)源氏の恋が多いから皆さん切ない気持ちになるのでしょうけれど。
 カラーの扉絵がいつも雅やかで溜息ものです。