秘密機関
事の始まりは二人が作った青年冒険家商会。お金に困り、また退屈しのぎという理由もあったこの商会の初めて請け負った仕事がこの話のメイン。ミステリものにある推理はありますが、解説にも書かれてましたけども、どちらかというと冒険小説、スパイスリラー色の方が強いと思われます。そして、手に汗を握るような敵との攻防の中に織り込まれる恋愛要素。今まで読んだ作品の中にも作中人物が恋をしていたりと恋愛描写があるものはありましたけど、主人公の恋愛描写というのはあんまりなかったように思います。なので、後半(中盤終わり?)のタペンスが己の気持ちに気付いた辺りの描写はなんだか新鮮に感じました。
本編の鍵になる「ブラウン氏」「ジェーン・フィン」ですが、誰が二人なのか特定するのは難しかったです。私には。ブラウン氏はリタ関連で二人まで絞れましたけど、トミーとタペンスのように見事ブラウン氏の巧みな言葉に騙されてしまいました。上手い言葉を使うなあと思う。でも、トミーは冷静でしたね。トミーとタペンスは性格は正反対ですけど、ほんとぴったりだと思います。
あと、解説で初めて知ったのですが、「フィン」には魚のひれという意味があるのですね。作中で彼女の名前について、こんな名前が他にあってたまるか的な事が何度か書かれていて何故なんだろうと思ってたので、そういう意味があると知って、ちょっとびっくりというか、そうだったんだあという気分です。でも、なんで魚のひれだと変なんですかね。ブラウンという名字がよくあるってのは私もわかったんですけどね。英語の教科書とかでよく出てきた覚えありますし。