読みやすい本で、比較的早く読了しました。子供から大人まで楽しめるという話を聞いていたのですが、まさにその通りだなと思います。
 キャラクターの心情とか気持ちの変化がリアルで、なんだか主人公が身近に感じられました。中学生ってこんな感じだよなあ、みたいな感じ。主人公の周りの友達や先生たちも、こんな人いたよなあって。そんな等身大な登場人物たちによる会話のリズムが絶妙で、なんでもないような会話なのにおかしく感じたり、自然とそのキャラたちの姿が見えてくるような気がしました。

 印象に残っている部分として、「ふつう」でありたいと努めていた瀬田に対する、秋本の「ふつうやない、特別なんや」という台詞が胸に沁みました。(その後喧嘩になりますが、本音をぶつけることは悪いことではない、と思う。いつまで何も言わないままでは先に進まないだろうし)さらっとした短い台詞だけど奥深いなあと思います。これから、を感じさせる良い終わりで、さわやかな読後感でした。