シンプルな装丁がとても好み。「憧」の一文字に惹きつけられます。フォントも素敵。「憧」をキーワードにそれにちなんだ3作を収録。奥深い。どれもちょっと苦い感じがしました。

■『女生徒』太宰治
 作者はなんでこんなに女の子の気持ちがわかるんだろう。ちょっと夢見がちなとことか、現実の見方とか。こんな子いるよなあ。読者からの日記が参考になっているらしいけど、すごいというか不思議です。

■『ドニイズ』ラディケ
 男性の語りで話が進む。この男性というのが、ほんとにプライド高いというか、田舎娘に対しての気持ちが自分本位というかで、なんとも女として微妙な気持ちになったのですが、オチには思わず笑ってしまいました。

■『幾度目かの最期』久坂葉子
 実話が元になっているんですね。何度も自殺未遂を起こした作者が本当に死ぬ直前に書いた原稿。必死とは違うけど、何か急き立てられてる感じ(?)があった。共感はしないけど色々考えるものはありました。