題名は知らなかったりするのだけれど、どこかで聞いたことのあるような日本の昔話がお馴染みの「桃太郎」「舌切り雀」などを含めて100も収録されています。方言での語り調や物語の始まりと締めの言葉を大事にされているようで、そのままの形で書かれているようです。温かみがあります。(特に標準語から離れているような言葉にはちゃんと隣に意味が付けられています)(それから1つ1つに解説付き)
 物語の冒頭部分では「昔むかしあるところに~」という具合の意味になるものが多いのですが、終わりの部分には「昔話はこれでおしまい」という意味の他に、ただ音を楽しんでいるだけのような言葉や何故そこにそんな言葉が来るのか解からないものがきたりします。たとえば「とっぴんぱらりのぷう」とか「これでいちごさけた、どっぺん。」とか。んな締めの文が味があって好き。全体を読んだ感じ、締めの部分は地域で変わってきているような気もします。近くの地域だと似ていたりとか。
 どの話も短くて、方言のことを除けば読みやすく覚えやすいと思います。読み聞かせ・ストーリーテラーなんかに向いているかもしれません。そのときは冒頭と文末は大切に読んでもらいたいところ。

 この中の「桃太郎」を読んで驚いた部分があります。桃太郎って自分から進んで鬼退治に行ったわけじゃなかったんですね。(なんというか、鬼退治に行くまでの過程が私が知っているよりも多かったんです)それから、犬や猿、雉にきび団子をあげるのは私が知ってるのと同じなんですけど、1個そのままやるのは勿体無いからって、半分しかあげていないんです。桃太郎はケチだったのか? いろんなバージョンがあるんですね。