虎の牙/透明怪人
今まで読んできた6つの話はどれもそうなのですが、どれも犯人はすぐわかります。面白いのはトリック。そして、化かし合い。万遍なくちりばめられている手品のようなそれに夢中になるのです。「透明怪人」でも、小林少年含む少年探偵団の証言やいろんな証拠をもとに行われる明智小五郎の推理の部分を読めば、結構そのトリックは単純なものだったりしますが、読んでるときはそのトリックの仕掛けがわからなくて、ほんと不思議に思ったものです。特に、透明人間にされてしまう、という件のところとか。思い込みにしてはよく出来ていたように思いますし。最初から、こいつが怪しい人物だっていうものはあったんですが、これといった決め手もありませんでしたし。(ラスト近くで漸くありましけど)
この犯人のやってることって、解説にも似たようなことが書かれていましたが、もうただの意地からですよね。明智小五郎に一泡ふかせてやりたい、憎たらしい生意気な少年探偵団どもを怖がらせてやりたいみたいな感じ。だから、この犯人なんだか憎めないんだよなあ。素顔が気になります。あと、どれだけの特技があるのか、とか。