怪奇四十面相

「透明怪人」でお縄についてしまった二十面相でしたが、懲りずに脱獄を図ります。なんというか本当にお前は…という感じです。大胆不敵っていうか、二十面相もとい四十面相、面白すぎます。発言とか特に。小林少年を気に入っているようですが、出し抜かれることも少なくはないですよね。小林少年に話しかけるときの四十面相はなんかちょっと危ない人のようにも思えます…。でも、彼ほんと変装の幅が広いですよね。郵便ポストとかまさかって感じでした。

 この話、いつものように明智小五郎がラストを飾るのですが、それまではほぼ小林少年が1人で頑張ってたりします。(チンピラ隊もそうなんですけど)彼もこれまで二十面相とやりあってきたためか変装術があがってました。生物じゃない百科事典に化ける、とか。子供がからできる変装ですね。郵便ポストに化けた四十面相にも並べるかと。でも、大人顔負けの推理力・洞察力を持つ小林少年ですが、ちゃんと子供っぽい部分もたくさんあって、そこが憎めないんだよなあとも思います。あと、書遁の術とか煙遁の術とか、当時大衆少年雑誌に連載されていたというだけに、こういう単語は魅力的だったのかもしれません。
 この話も今までと似たような感じだったのですが、それでも飽きさせないのが乱歩なんだなあとしみじみ思いました。

宇宙怪人

SFというか、空飛ぶ円盤だとか星の世界とか宇宙人とかそういう実際にはない(もしかしたらあるのかもしれないけど)ような単語がいっぱい出てきて、現実味のない話が主となっていました。が、これもトリックの1つだったわけで。まんまと引っかかった読み手である私は相変わらず進歩がありませんね。誰が奴かってところまでは読めてたんですけどね。ありえないような話にどういうことだ?と首を捻ったものです。ほんと進歩ない。種明かしのときにそうか、こういうのも有りだったんだということを思い出しました。透明怪人とか似た感じでしたよね、確か。しかし、四十面相、あんなに国際的だったなんて。世界中に仲間がいるんですね。恐れ入りました。

 「宇宙怪人」でも小林少年やチンピラ隊は大はつくかどうかわかりませんが活躍します。でも、最後の最後で子供と大人の違いか四十面相に出し抜かれちゃうんですよね。良い線までいくんですけど。子供だもんなあ。平野少年と仲良くなったり。でも、子供といっても少年探偵団だということに誇りを持っていると思わせるシーンもありました。
 ラストは前にもあったように四十面相の生死は曖昧に濁されて終わっています。けど、彼のことなので、またアッと言わせるような手品で逃げ切っていることでしょう。