表紙を担当している絵描きさんのファンだった。それだけで手に取ってみた本でしたが、とても良かったです。タイトルの第一印象でファンタジーの話かな、なんて思って読み始めたので、本編に現実でよく聞く単語をたくさん見てちょっと驚きました。エルムという単語から「ファンタジーかな?」と思ったんでしょうけど、甘栗もエルムも登場人物の名前でした。ちなみにこの作品はジャンル分けするならミステリーかと。ミステリー好きなので読んで良かったです。読み応えもありました。読後感も良かったです。エルムからの依頼は一段落したけど、主人公の話はまだ続いてるんだなあって感じで。

 単語といえば、作中ではぼかさずにしっかりそのものの名前(商品名)が使われているので、色々とイメージしやすかったですね。この方の作品はどれもこんな感じなのでしょうか。文体も読みやすくて、すらすら読めました。キャラクターも等身大というのか、魅力的でした。ただ主人公の周りの人物(友人の直哉、同じ部活だった三ヶ日さんなど)と主人公の関係ももうちょっと見たかったです。メインはエルムの母親探しなので仕方ないんですけど、もう少し彼等のやり取りも見たかったなあ、なんて思ったりしました。