「このミス」大賞を受賞ということで、気になって読んでみました。法廷が舞台の小説は初めて読むので、なんだか新鮮でした。でも、なんかこの裁判での検察官の尋問はちょっと気になります。弁護側も度々異議を申し立てているけど、やり方が卑怯というかなんというか。実際どうなのか知らないので、なんともいえませんけれど。こういうの読むと、もっと別の知識も必要だなあと思う。

 内容は楽しめました。ただ、途中まで被害者と加害者を勘違いしていたので、被害者の名前が出た時に虚をつかれました。また先入観を持って読んでいたようです。語りが上手だったんだろうか。
 今回の事件の発端が発端なだけに、被害者側に同情してしまう。それだけ悲劇的に書かれてるからかもしれない。でも、最初の事件の話はやり切れなくて、家族や友人のことを考えるとこっちも悲しくなる。あの事件の犯人はちゃんと罰せられるべき。話の中では語られずとも、被告人の今後は見えたようなもんですが。弁護士として登場した佐方の考え方は結構好きかもしれない。ラストの光治に名刺渡すところの件が良かった。